労務管理対策 |
労務管理コンプライアンス診断
会社・事業場において、労働基準法・労働安全衛生法・パート労働法・労働者派遣法・男女雇用機会均等法等の労働関連法規が遵守されているか、トラブル発生のリスクはないかの確認をし、適正な運用に向けての具体的な方策を提案します。特に、労働基準監督署の是正勧告の対象となりやすい、時間外・休日労働、36協定、割増手当の支給、サービス残業、名ばかり管理職、偽装請負等は重点的なチェックをし、問題の拡大を防止します。
就業規則等規程類の整備・見直し
社員が10名以上の会社は就業規則の作成が義務づけられています。ただ、就業規則の作成は、法的な義務という消極的な理由からではなく、会社が組織としての秩序が守られ、社員が公正な処遇を受けるために大きな意義があるものです。社員との間でトラブルが起きたとき、就業規則の規定がなかったり、古かったりしたために、会社側が裁判で負けるケースもあります。
就業規則等の諸規程の作成のほか、規程が最新の法令に基づいたものになっているか、現状の人事労務の運用状況に即しているか、さらに近年の労務管理環境から見てトラブル発生のリスクのある文言はないかの確認をし、適正な規程に整備をします。労働基準法をはじめ、パート労働法・育児介護休業法等の改正が相次いでいる今こそ、諸規程類を見直し、安心して働ける環境を整えたいです。
労働時間管理の適正化
長時間労働は、労働災害面や健康管理面で高いリスクをはらんでおり、社員のモチベーションを確実にそいでいきます。会社にとっても、人件費や光熱費の増大につながり、減少させるに越したことはありません。特に、平成22年4月から、月60時間超の時間外労働の割増賃金が50%以上となり、長時間労働が恒常化している会社では結構なコストアップ要因となります。
労働時間に関する規制は複雑・難解で、誤った運用をしている会社も多く見られます。中には、払わなくてもよい時間外割増手当や休日割増手当を支給する会社もあります(ミニコラム「時間外労働のダブルカウント」参照)。適正な労働時間管理をすることで、不必要な残業を減らし、社員・会社双方が満足を得られます。当オフィスでは、単に法に則した制度を整備するだけでなく、下記のようにムダな労働時間を削減すべく多角的な提案をいたします。
■労働時間管理の適正化 1 労基法に基づいた労働時間管理の実施 2 労働時間の把握の仕組みの構築 ■長時間労働の削減 1 残業許可制、ノー残業DAY等による残業減らしの実施 2 目標設定による労働時間削減の仕組みの構築 3 変形労働時間制等の活用による業務の繁閑への対応 4 業務プロセスの見直しによる労働時間の削減 |
派遣社員・パート社員等の労務管理の適正化
多くの会社で、派遣社員やパート社員等の非正規労働者の活用なくしては業務の運営が成り立たなくなっています。現場を支えているのは非正規労働者という会社も珍しくありません。一方で、正社員でないことから、管理が行き届かず、思わぬトラブルや労災なども引き起こしがちです。また、非正規労働者は正規労働者に比べて弱い立場にあることから、特別な法規制がなされており、法的な面でも注意が必要です。特に雇用条件を契約で明確にしておくこと、人事部門だけでなく現場の管理者と派遣社員・パート社員の双方によく理解しておいてもらうことが大切です。
非正規労働者の就業環境を改善し、モチベーションを高めることは、会社にとって大きな戦力アップになります。非正規労働者の労務管理の適正化に向けて、具体的な施策を提示いたします。
労働基準監督署の是正勧告対応
労働基準監督署が、会社などに立ち入って実施する行政指導を臨検といいます。臨検には、①定期的に実施するもの、②申告に基づいて実施するもの、③労働災害が発生したときに実施するもの、の3つがあり、平成18年の実施状況を見ると、①が約11万9千件、②が約3万1千件となっています。いずれにしても、臨検で法令違反が認められれば是正勧告を受けることになります。もし、重大で悪質な法令違反があれば、司法処理、すなわち刑事事件扱いとなることもあります。因みに、平成18年に定期臨検の行われた事業場のうち、約8万件(67.4%)で法令違反の指摘を受けています。
是正勧告を受けると、どうしてよいかわからずパニックに陥る会社も多いですが、よほど悪質なものでなければ、冷静に、そして真摯に対応すれば、まったく問題はありません。まずは、指摘された事項が適切かどうかをきちんと把握し、その上で、是正に向け着実に対応すればよいのです。むしろ、是正勧告が労務環境を改善するよい機会になると前向きに対処したいです。
当オフィスでは、指摘された問題が何か、是正のためにどうすればよいか、是正・改善報告書をどのようにまとめればよいか等について的確なサポートをいたします。
リスクアセスメント導入支援
リスクアセスメントとは、「職場にある様々な危険の芽(リスク)を見つけ出し、災害に至る前に、先手を打って対策を施し、リスクの除去・低減を行い、労働災害の減少を図る手法」のことで、具体的には以下の5つの手順で実施をします。
1.危険性または有害性の特定 | 作業の中で、機械・電気・熱等による危険性や、ガス・粉塵・放射線・騒音等の有害性がないかを洗い出します。 |
2.リスクの見積り | これらのリスクについて、災害の程度と発生可能性からその大きさを評価します。 |
3.リスク低減の優先度の設定と措置の検討 | リスクの大きさに基づいて優先順位を設定した上で、リスクを除去・低減する対策を検討します。 |
4.リスク低減措置の実施 | 検討した対策を実施します。 |
5.記録 | 一連の活動を記録し、ノウハウとして蓄積・伝承することで安全性の向上を図ります。 |
リスクアセスメントの実施は、労働安全衛生法第28条の2にて努力義務が課されています。安全衛生の向上を目指して企業が自主的に導入するのが一般的ですが、労働災害の発生などから労働基準監督署の指導を受け、導入するケースもあります。行政も力を入れており、各種の指針、パンフレット、事例集など充実した資料が用意され、研修等も豊富に実施されています。ただ、リスクアセスメントは、計画・組織化から実行・評価まで、数多くのステップが必要となり、また、実際に効果を上げるためには、一部の関係者だけでなく、事業場全体で取り組まなければなりません。
そのため、独力での実施には多大の時間的コストが必要となります。特に、制度を導入して運用を始めるまでは、手探りの状態で進めざるを得ず、多くのムダな労力や時間が発生することが予想されます。実施に向けて中核を担うのは管理職の方々となりますので、現状の業務に加えて、これらの負荷がプラスされるのは、相当な業務負担となるのも事実です。
そこで、当オフィスでは、リスクアセスメントの導入に必要な手順、作業、資料等の提示を行うとともに、制度検討の場に直接入ることで、本格実施に向けての体制づくりがスムースにできるよう支援をしてまいります。
一方で、①リスクアセスメントは1回で終わるのではなく、継続的な取り組みにする必要があること、②一部事業場だけでなく、他の事業場でも横展開できるようにすること、の2点を踏まえ、社員の方に主体的に参画していただき、企業としてのノウハウを確立できるような内容としています。
下記は、プロジェクト方式による導入支援のイメージです。
企業の安全衛生管理については、労働安全衛生法(安衛法)に定めがありますが、安衛法の体系は、本体の安衛法以外にも、安衛令、安衛則(全部で678条!)という結構な量の下部法令があり、さらにボイラー則、クレーン則、有機則、粉じん則等、取り扱う機械や物質によって定められた周辺規則もあって、非常に膨大かつ多岐にわたるという特徴があります。
このため、安衛法を遵守しているつもりでも、労働基準監督署の立ち入り検査で、今まで意識もしなかった法令違反を指摘されることもよくあります。複雑な法体系ゆえ、不足やモレが生じてしまうのです。
法律上の不備に気付かずにいるというのは、安全衛生に何らかの問題を抱えたまま労働者に作業をさせていることになります。当然、労災や健康障害が発生するリスクも高くなり、また、事故が起きたときの企業責任も重く問われることになります。
一歩間違えば労働者の生命にかかわるこのようなリスクは、可能なかぎり減らしておくのは企業の勤めといえるでしょう。
当オフィスでは、安衛法を中心に安全衛生に関して必要とされる法定事項が遵守されているかを、企業の業種・特性に応じてチェックをいたします。
<チェック事項の一例> ●安全衛生管理体制 ●労働者の危険・健康障害を防止するための措置 ●機械等・危険物・有害物に関する規制 ●労働者の就業にあたっての措置(安全衛生教育、就業制限等) ●健康の保持増進のための措置(作業環境測定、健康診断等) |
これらについて、ヒアリング、関係書類の確認、工場視察等を通じて、法定基準を満たしているかを精査いたします。
企業再編時の人事労務管理支援
近年、企業再生の一環として、また、さらなる競争力向上の手段として、合併などの企業再編を選択する企業が増えています。
企業再編は労働環境の劇的な変化を伴うことが多いため、社員の会社生活にも大きな影響を与えます。このため、再編にあたっては、法的な要件を備えることはもちろん、いかに社員の理解や納得を得ながら進めていくかが、スムースな再編およびその後の事業展開にとって重大なテーマとなります。
手続きを誤ると、簡単には払拭できない不信感を社員に与えてしまい、大きな負債を抱えてのリスタートということになりかねません。形式的に再編が成功しても、社員がダメージを引きずったままでは、再生や競争力強化などはおぼつかないでしょう。
もう1つ留意しなければならないのは時間の制約です。企業再編は、限られた時間の中で膨大な作業をこなすことになりますので、“とりあえず再編してしまうこと”が目的となりがちです。そのため、人事制度や労働条件など本来は十分に検討すべき事項を、流れ作業のように機械的に決めてしまう傾向があります。
このような安易な決定をすると、一部の社員に過大な不利益をもたらして行政に駆け込まれたり、予想以上の人件費の高騰を招いたりするなどの問題を引き起こすことになります。
当オフィスでは、そのような企業再編にあたっての人事労務管理リスクを減らすとともに、再編効果を最大化するため、下記の支援を行っています。
企業合併にかかる人事労務管理支援
合併の際は、基本的に労働契約も包括承継されますので、賃金などの労働条件を変更するには、労働契約法に定められた手続きが求められます。合併と同時に労働条件を変えるのであれば、合併前にこの手続きを進める必要がありますし、合併後に検討するということであっても、少なくとも方向性は合併前に確認しておく必要があります。そうしないと、合併について社員の理解や納得を得られないからです。
事業譲渡にかかる人事労務管理支援
事業譲渡の場合、労働契約は当事者(譲渡会社と譲受会社)の合意によることになります。だからといって、やみくもに労働条件を変更できるわけではなく、労働契約法による規制や、就業規則等の規定、譲渡後の社員のモチベーションなど、多様な観点からの検討が必要となります。
会社分割にかかる人事労務管理支援
会社分割の際は、労働契約承継法に基づく手続きが必要となります。労働契約は原則として包括承継となりますが、労働組合や労働者との協議、分割対象社員の選定や通知、異議申し立てなど、法的に求められる作業を計画立てて進めていく必要があります。これらに瑕疵があると、労働承継がうまくいかず、会社分割手続きが混乱したり停滞したりするおそれもあります。
ハラスメント対応支援
労務管理で問題となるハラスメントには、主にセクシュアルハラスメントとパワーハラスメントの2つがあります。ハラスメントが起きると、被害者はもちろんのこと、職場全体の生産性が低下したり、対外的なイメージが低下したりして、企業にも大きな損失を与えます。
このため、今日ではハラスメントへの対応は、人事労務管理の重要課題の1つとなっているといえます。企業がハラスメントに適切に対応できるよう、当オフィスでは以下の支援を実施しています。
1.ハラスメント発生防止に関する支援
ハラスメントの発生防止は、以下のプロセスで実施します。これらの全部または一部を支援していきます。
(1)職場の現状の把握
ハラスメントの実態、経営者や社員の意識、企業の取り組みなど、職場の現状を確認します。
(2)基本方針の策定
企業の規模や業種、ハラスメントの現状を踏まえ、基本方針を策定します。
(3)体制整備
相談窓口・苦情処理機関の設置、規程類の整備など、ハラスメントの予防および発生時の対応が適切にとられるよう、その企業にマッチした体制を整備します。
(4)社員への周知と啓発
社員へのアナウンス、ハラスメント研修、職場ミーティングなどを通じ、ハラスメントが起きないよう社員の自覚を高める仕掛けづくりを行います。
2.発生したハラスメントへの対処
社員からハラスメントの訴えがあったときは、以下のプロセスにより対応するのが基本となります。
(1)社員からのヒアリングと解決方針の決定
社員のケアを行いながら十分に意向を確認し、どのような解決策が望ましいかをしっかりと検討していくことが大切です。
加害者をはじめとする関係者に対する事実確認を行います。大切なのは、先入観を排して必要な事実だけを確認することです。
(3)事実の判定
調査内容に基づいて事実の有無を判定します。第三者が加わることで判断の客観性が高まります。
(4)解決策の決定と通知
確認された事実に基づいて解決策を検討・決定し、関係者に通知します。解決策には、被害者が今後被害を受けないようにするための措置と、加害者に対する処分の2つがあります。特に後者に関しては、法的なアプローチが求められます。
(5)再発防止措置の策定
同様のことが起きないよう、再発防止措置の策定を行います。形式的な措置ではなく、原因を踏まえ、真に有効な防止措置を設ける必要があります。
これらにおいて求められるのは、客観性、公平性、専門性、迅速性、プライバシーへの配慮等ですが、社内のみでの対応では不十分となるおそれもあり、事態のさらなる悪化も懸念されます。
当オフィスでは、トラブルの拡大防ぎつつ問題が早期に解決できるよう、専門的・具体的なアドバイスを行うとともに、ご依頼に応じてヒアリング・調査等への立ち会いを行っています。